Archive for 3月, 2017

3月

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衝撃のラストシーン。彼がつぶやいた最後のセリフの意味とは・・・?映画「シャッターアイランド」

By ono



シャッターアイランド【ネタバレ無し】
 先日ネット回線を乗り換えしましてね。電話線の工事が必要だってんでそのための業者さんが家に来たわけです。「特に問題なければ10分くらいで終わりますねー」のはずだったんです。けど、私の家、電話線がスパゲティみたいになってまして。外からの電話線が2階に入りまして、その後1階のパソコン部屋に出てきて、そこからまた壁に戻って2階の寝室につながってまして、そこからまた下に降りて居間のメインの電話につながるってことになってましてね。壁の中に何十メートルも走ってるその線、全部入れ替えしなきゃならないはめになるって言う。で、最初の予想よりどんどん時間がかかって、業者さん2人いるんですけど、先輩のおらついてる方の人が若くて華奢な後輩の方に怒鳴る怒鳴る。
「そっちちゃんと押さえとけっつったろーが!」
「すいません!」
「話聞いとけや、ったくよ!」

 みたいな殺伐とした時間が3時間程続くんです。ある意味地獄です。仕方がないのでヘッドホンして、iPadのhuluで観てたら工事が終わるまできっちり観終われたっていうのが今回の映画です。ただですね、業者さんの怒鳴り声にびくびくしながら観るっていう環境はこの映画の内容にぴったりでした。何という偶然でしょう。

「あらすじ」
 精神を病んだ犯罪者だけを収容し、四方八方を海に囲まれた「閉ざされた島(シャッター アイランド)」から一人の女が姿を消した。
 島全体に漂う不穏な空気、何かを隠した怪し気な職員たち、解けば解くほど深まる謎……。
 事件の捜査に訪れた連邦保安官テディがたどり着く驚愕の事実とは(Amazonから

 というわけで、巨匠マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオが組む映画の4作目。ディカプリオ扮する連邦保安官テディが相棒のチャック(マーク・ラファロさんです)を連れて船で島に向かうところから話がスタートします。アッシュクリフ病院からこつ然と消えたレイチェルという女性(精神を病んで自分の子ども3人を殺している)の捜索に来るわけですが、病院で会う人誰もが何やら秘密を隠している感じ。そして寝るたびに悪夢にうなされるテディも過去に何かしら心の傷を負っているようです。

 ベン・キングスレー演じるコーリー医師。そう言えば彼は「ザ・ウォーク」でもパパ・ルディ役として出演していましたね。さて、アシュクリフ病院には派閥があり、コーリー医師は改革派として投薬メインでの治療を進めているそう。保守派のナーリング医師は暴力的な患者に対しては速やかにロボトミー手術を行い、廃人の一歩手前みたいにはなるけれども従順にするという対応を進めています。そんな中、一向にレイチェルの足取りは掴めないまま、どうやらこの病院そのものが何かおかしい、とテディは思い始めるのです・・・

 夢に出てくるテディの妻。彼は放火魔が起こした火事により妻を亡くしたという過去を背負っているようです。その事で悩んでいるのか、悪夢にうなされているのでした。
 テディが冒頭から気になっていたのが島の灯台。警備隊の男性は「古い灯台で、今は単なる下水処理施設だ」というのですが・・・。きっと何かがあるのでしょうね。

 とにかく、全てが明らかになるラストシーンへ向けて山のような伏線が張り巡らせてある映画です。観終わった後、もう一度見返すと「なるほど、そういうことか」っていう発見が結構あってまた楽しめる映画ですね。今ひとつピンとこなかったな、という人は映画「シャッターアイランド」徹底解説が参考になりますよ。
 本当に恐ろしいのはゾンビでも幽霊でもなくて、人間の心の深淵、闇の淵みたいなところにあるんじゃないかな・・・とふと思いました。オススメです。

 閉ざされた島、精神病棟、古い灯台、消えた女性、うなされる悪夢・・・ミステリー好きが大好きなシチュエーションがこれでもかと詰まっているのが良いですよね。連邦捜査官のテディは無事に事件を解決して島を脱出できるのか?

 

3月

15

マジメな大人のひたむきな仕事に元気をもらおう。「スポットライト 世紀のスクープ」

By ono



スポットライト 世紀のスクープ
 前回の記事から1か月近くが経ってしまいました。仕事が非常にタイトと言いますかシビアと言いますか、こったこたになっているオノです。大人をやってると色々ありますよね。理不尽なことも腹立たしいこともぶん投げたくなる時も。
 で、そんな時は頑張る大人達の姿に元気をもらうというのはどうだろう・・・という訳で「スポットライト 世紀のスクープ」。ボストングローブ紙が2002年に書いたセンセーショナルな記事と、それを手がけた記者達を、事実に基づいて描いています。で、その記事というのが「数十人もの神父による児童への性的虐待を、カトリック教会が組織ぐるみで隠蔽してきた衝撃の事実」であり、こうした重大な罪がなぜ黙殺されてきたのかを取材した、というものなんですね。アメリカンジョークのネタではよく聞く話ですが、実際の事件にしてはあまりにも話が深刻過ぎますよね。単に個人の特殊性とは片付けられないのではないか、という部分も問題です。

ストーリー(公式HPを参照)
 2001年の夏、ボストン・グローブ紙に新しい編集局長のマーティ・バロンが着任する。マイアミからやってきたアウトサイダーのバロンは、ある神父による性的虐待事件を詳しく掘り下げる方針を打ち出す。その担当を命じられたのは、独自の極秘調査に基づく特集記事欄《スポットライト》を手がける4人の記者たち。デスクのウォルター”ロビー”ロビンソンをリーダーとするチームは、事件の被害者や弁護士らへの地道な取材を積み重ね、大勢の神父が同様の罪を犯している実態と、その背後に教会の隠蔽システムが存在する疑惑を探る・・・

 写真が「スポットライト」チーム。左から、冷静沈着なリーダー「ウォルター(マイケル・キートン)」、新任の編集局長の「マーティ(リーヴ・シュレイバー)」、行動力のある熱血記者「マイク(マーク・ラファロ)」、紅一点でひたむきな仕事をする「サーシャ(レイチェル・マクアダムス)」、皆を暖かく見守る「ベン(ジョン・スラッテリー)」、地道なデータ分析を行う「マット(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)」の以上6名。何だか左側の3人にただならぬものを感じるなー、と思ったら、この人たち、バットマンとウルヴァリン(の兄)とハルクじゃないですか!あと、白髪頭のベン役の方はアイアンマンことトニー・スタークのお父さん(ハワード・スターク)役。なんだか安心して取材を任せられそうですね!

■本当の話だからこその重み

「カトリック教会は裁判の証拠を隠せると・・・?」
「妄想で言ってるんじゃない。記録保管所へ行ってみろ。教会は何でもできる。
 ・・・何でも。」


 本当に事実をなぞったストーリーになっていますので、スポットライトチームの皆さんはひたすら地道に取材を進めていきます。だからストーリーも派手なところは全くないのです。なのに登場人物が話す言葉の一つ一つがすごく重みを持って訴えかけてくるんですよね。神様と同列なくらいに信じていた神父様に虐待され、そのことを言えずに暮らしてきた人、被害者団体として散々声を上げてきたのに、事を荒立てたくない人たちに無視されてきた人、それでもやっぱり教会は人々の心のよりどころだから、と敢えて教会を守りたい人、いろんな人のいろんな思いが等身大で伝わります。
 あと、マイケル・キートン演じるウォルターが印象的でした。あんまり表情を変えないキャラなのだけど、スーッと深い色をした目が何か訴えてる感じが良い。バットマンとか言ってすみませんでした。バードマンも良かったです、一応。

マイク・レゼンデス記者。とにかく熱い。

 そんなわけで、実際のスポットライトチームはこの記事によって公益報道部門でピューリッツァー賞を受賞。この記事の後、世界中の各地でこうした虐待が行われている事が次々と明らかになり、せきを切ったように訴訟が起きています。2002ですから結構最近の話のはずなんですけど、日本だとあまり報道されていなかったような・・・。とにかく、オススメの映画なのは確かです。

  


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