Archive for 4月, 2017

4月

15

本当にダメな映画。しかしそのダメっぷりは味わい深い「極秘指令 ドッグ×ドッグ」

By ono



極秘指令 ドッグ×ドッグ
 仕事で疲れて帰ってきた後、22時過ぎから観る映画じゃなかったです。何かよけいに疲れが・・・。唯一の救いは1時間22分とコンパクトだったことくらいかな。旧政権下で様々な裏工作に関わってきた極秘チームが、政権交代を機に疎んじられたのか抹殺されそうになる、っていう事情のお話。開始10分で観るのをやめたくなる映画でしたけど、ダメな部分を味わおうと思って観ると、意外と愛せる部分の多い佳作かも知れない。

あらすじ
 2009年1月20日、オバマ新大統領の就任に全米が沸き立つ中、旧政権下で極秘ミッションに関わって来た「ファクトリー」と呼ばれる非合法工作組織にエリックが着任する。そんな中、チームを統括する「悪魔」が何者かに殺害され、ファクトリーのメンバーを秘密オフィスごと爆破する「終末計画」が作動する・・・

 まず邦題がね。「極秘指令 ドッグ×ドッグ」て。原題は「OPERATION:ENDGAME(オペレーション・エンドゲーム)」で、まさに「終末計画」のことを言っているわけですが、これじゃ売れないと踏んだのかなー。権力の犬同士が争い合うって意味でドッグ×ドッグなのかなー。
 あらすじにあった通り、10人からなる極秘工作チームが政権交代を機に処分されそうになるという中、なぜかアルファとオメガ、2つのチームが殺し合いを始めるのです。ちなみに工作員達はタロットの名前が付けられており、主人公のエリックは「愚者(The Fool)」。

 ゴルフクラブを持った「女帝」対、傘を持った「皇帝」。オフィスでの殺し合いなので、周りにある道具を何でも武器にしなければいけないの。その辺の設定は面白いかも。ポスターだと皆ピストルを構えてますけど、前述のような事情で銃撃戦はありません。だからといって劇中通りにゴルフクラブだの傘だの椅子の足だのブックスタンドだのを持ってたらポスターが間抜けになっちゃうものね。仕方ないよね。
 で、そろそろ飽きてきたなーという辺りの時間帯で、ちゃんとお色気のシーンが。

 さすがわかってるね!アルファチームの「節制(テンパランス)」とオメガチームのエリック。二人は昔付き合っていた事があるらしい。

 あくまで個人的な感想ですけど、CGがチープ、セットがチープ、セリフがチープ、密室の設定(B級ホラーによくあるアレ)、とにかく低予算だったんだろうな、という映画。だけど、最初から低予算B級映画だと思って観れば、戦闘シーンなど含め、結構楽しい。ブログで書こうと思ってもう一回飛ばしながら観たんですけど、「あれ、なかなか悪くないんじゃない?」という感じ。疲れて脳が麻痺してるのかもしれないけど。
 生き残るのは誰なのか、そして本当の黒幕は誰なのか。想像しながらヌルめのバトルロイヤルを楽しんでみるのはどうかしら。皆が知ってる名作映画なんて他人に語れるものじゃなし。今こそほとんどの人が観てないマニアックなB級映画をけなしながら語るという話のタネを拾ってみましょう。さあどうぞ。

 

4月

9

アイドル映画と侮るなかれ、意外に良かった「幕が上がる」

By ono



 一点だけ、とても残念なことがあるとすれば、私がももクロ大好きだってことなんですよね。「幕が上がる」はとっても素晴らしい青春映画なんだけど、他の人に言っても「ももクロファンがアイドル映画観て良いとか言ってるのキモいわー」になっちゃうんですよ。こればっかりは。でもそういう色眼鏡無しに観てみると、悪い映画じゃないですよ。本当です。言えば言う程アレですけどね!

あらすじ
 とある地方高校の弱小演劇部。彼らは、かつて「学生演劇の女王」と呼ばれた新任教師吉岡との出会いによって、運命が一転する。ある日吉岡が、”肖像画”と呼ばれる一人芝居を演じて見せたことをきっかけに、部員たちの潜在能力が開花。吉岡の「私は行きたいです。君たちと、全国に。行こうよ、全国!!」という一言に触発され、全国大会を目指すことに・・・(wikipediaより抜粋

 というお話。そもそもなんでお芝居が好きかもわからない、悩み多き部長のさおり(百田夏菜子)、とても花のある看板女優ユッコ(玉井詩織)、キテレツな動きでムードメーカーのがるる(高城れに)、演劇部強豪校から転校してきた中西さん(有安杏果)3年生が大好きで必死に慕う明美ちゃん(佐々木彩夏)の5人をももいろクローバーZの皆さんが熱演。もともと仲の良い5人というせいもあるのか、日常のシーンや練習のシーンなど、演技してる臭さがなくて、とても自然に見えたのが良かったな、と。

 ↑演劇部の強豪校から転校してきた中西さん(右)とさおり(左)。全国大会のレベルを知るため、2人で大会ボランティアとして参加する事に。

 高校の部活で青春で地区大会で夏で合宿でっていう設定だけど、努力!友情!熱血!挫折!みたいな熱さはあまりないのね。どっちかというと最後まで悩んで葛藤して信頼して、みたいな。自分たちを振り返ったって高校の部活なんてそんなに熱かったわけじゃないしね。そういう意味でも等身大でリアルな感じがちょっと懐かしさを感じさせたり。部活って良いよな、的なものを思い出した。

 こうして書いている最中にも色々な場面を思い出して書きたい事ばかり増えていくんだけど、昨今話題の「ラ・ラ・ランドを語るおじさんが気持ち悪い問題」みたいになるので止めとく。
 ただ一つ気になるのは、劇中劇で題材となっている宮沢賢治のあのお話。普段の会話は自然なのに、劇中劇のシーンだけがなんかセリフ臭いというか、わざとらしいと言うか。大会に出ている周りの高校生の舞台が妙にシュールでよくわからないけどとにかく熱い感じが出ている中(これは本物の各地の演劇部の舞台を収録している)、主人公達のお芝居だけが稚拙に見えて浮いちゃうのよね。ここが唯一惜しいところかな。

 あとちょっと笑っちゃったのがね、「学生演劇の女王」の吉岡先生にさおりが「じゃあ先生がやってみてくださいよ、簡単なんですよね」とつっかかるシーンがあるんですけど、それを聞いた吉岡先生、メガネをはずすと、
 
 ↑唐突に窓をガラガラッ。強い風が窓から吹き込む中、ひっつめていた髪を「ブァサーッ」とほどくと、振り返って独り語り(の演技)を始めるっていう。唐突なやり過ぎドラマチック演出にちょっと吹き出してしまいました。TMの西川さんかっていう。
 とにもかくにも、観ていて何か来るものがある映画ではないかと思った次第。ももクロが好きな人もそうでない人も観てみたら良いんじゃないかなー。

  


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