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狂気・恐怖・賞賛…地上411m、ワールドトレードセンターを綱渡りした男の実話、映画「ザ・ウォーク」

By ono   2017年1月17日


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ザ・ウォーク
 DVDで観たんですけどね。もう最初のメニュー画面から↑こんなんですよ。高所恐怖症の私が観ても大丈夫なんでしょうか。というわけで「ザ・ウォーク」。2015年のアメリカ映画です。1974年にニューヨークのワールドトレードセンターという2本のビルの間を命綱無しでゲリラ的に綱渡りした男、フィリップ・プティの実話を映画化した作品です。
 監督はあのロバート・ゼメキス。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」3部作や「フォレスト・ガンプ」、「キャストアウェイ」などで有名な方ですね。フィリップ・プティを演じるのはジョゼフ・ゴードン=レヴィット、「インセプション」のアーサー役や「ダークナイト・ライジング」のジョン・ブレイク(警官)などを演じています。ちなみにフィリップ・プティはフランス人ですが、演じるジョゼフはアメリカ人。フィリップが話すフランス訛りの英語を取得するのにはかなりの努力が必要だったと言われています。実際に話しているところを観ると、確かに圧巻。この人フランス人だっけと思う程です。
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■あらすじ
 1974年。フランス人の大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、誰も考えついたことのない挑戦をすることに。それはニューヨークのマンハッタンにそびえ立つ2棟構造の高層ビル、ワールド・トレード・センターの屋上と屋上の間にワイヤーロープを張って命綱なしで渡っていくというものだった。そして、ついに決行の日を迎えるフィリップ。地上110階の高さに浮いているワイヤーを、一歩、また一歩と進んでいく彼だったが……。

 もちろん、クライマックスはフィリップ・プティがワールド・トレード・センターでの綱渡りを敢行するところなんですが、こんなのもちろん許可される訳が無いですから、日中に何とか屋上に忍び込み、業者のふりをしてワイヤーなどを運び込み、深夜の間に綱を張り・・・という、その計画のための調査や仲間集め、段取りを進めていく訳です。映画の中ではこんな感じで語られています。

NYへ行ってスパイ開始。
毎日タワーへ通った。しかも毎日違う変装で。
タワーを撮影し、克明にメモをした。
エレベータも乗って調べた。スカイロビーへの高速運転も含め、何百回も。
保安要員、搬入口、トラックもチェック、到着や駐車の時間、交わされる書類。
得意な変装は建築家だ。ネクタイ姿で設計図を持てば、
現場へ自由に出入りできた。

 かなり綿密に調査をしていたことがわかりますね。調査の過程でも現地の協力者を見つけ、段取りを確実にしていきます。そして遂に決行の日が来るんですが、もちろん様々なトラブルが襲いかかる訳です。ネタバレになりますのであまり書きませんが、うまくビルに侵入できても予想外の警備員がいたりとか、綱を張る際に想像もしなかった事故が起きるとか・・・です。それらすべてを乗り越えて、綱渡りの一歩目を踏み出した瞬間、クライマックス。色々ハラハラし過ぎてもうなんか疲れてますけど、この一瞬のためにこれまでのすべてがあったのですねー、と思うと本当に感慨深い。でもね、
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 映像がめちゃめちゃ怖いよ!地上411メートル、110階建てのビル!もうあそこは恐怖でキュッてなるし、映像を見ながら一人で「怖い!怖い!」を連呼。一人で良かった。だいたい恩師の忠告にも関わらず、命綱無しですよ!?もう文字通り命がけなのです。急に突風とか吹いたらどうすんだ。どうかしてます。あと、協力者の一人、フランス語しか話せない高所恐怖症の数学教師、ジェフさんていうのがいるんですけど、この方がすごく良い味出しています。フィリップ・プティが綱渡りを始める直前まで一緒に作業を進めるんですが、綱の上を歩いていくプティを見て、嬉しさのあまり小さくガッツポーツアンド小躍りするんですけど、これがかわいい。いかにも運動のできない人がぎこちなく喜びを表してる感じがツボです。高所恐怖症だって言うのによくこんなクレイジーな挑戦に協力しましたよ。
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■綱渡りが命を吹き込んだ?
 現地でのスタッフを集める過程のやりとりで、こんなセリフがあります。

「なぜあのタワーだ?皆”醜い箱”と言ってる。デカい書類棚みたいだ。」
「言えてる。クライスラー・ビルにしないか?楽しいぜ。」

 格好悪くて、あまり好かれてないビルだったことがわかります。映画情報ニュースサイト「TimeWarp.jp」の記事には本作品の視覚効果スーパーバイザー、ケヴィン・ベイリーのこんなコメントが。

「ニューヨーク中の人たちが、まるでファイリング・キャビネットみたいなビルだ、と思っていたんだ。でもあのワイヤー・ウォークが行われた後は、みんなタワーが大好きになった。タワーに人格が備わったんだ。フィリップ・プティがタワーの間を歩いたことで、タワーが詩的なものになり生まれ変わったのさ」
 (「今はなきWTCに敬意を表したスタッフの熱意!映画『ザ・ウォーク』あのツインタワーが再現されるまで。(2015年12月28日) 」から

 なんだか素敵な話ですね。だからこそ、9.11でこのビルが失われてしまったことが本当に残念に思われます。そんな建築への哀悼も込められた「ザ・ウォーク」。オススメですよ。ちなみに当時の実際の写真はこちらからどうぞ

■作品データ
原題 The Walk
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間 123分

   


2 Responses so far

こんにちは。シドニーからいつも楽しく読ませていただいてます。
私は2009年公開のドキュメンタリー『マン・オン・ワイヤー』の方を観ました。で、高所恐怖症なのでこの『ザ・ウォーク』はパス(笑)
プティの言葉「人生はエッジの上を歩かなければ意味がない(”Life should be lived on the edge of life.” 」というのが、海外生活を始めようとしていた私を後押ししてくれたのを覚えています。
しかしまあ、こんな、目もくらむような空中散歩ができれば素敵でしょうねぇ・・・(遠い目)。

>miyuki様
コメントありがとうございます!「マン・オン・ワイヤー」ご覧になったんですね。今回の映画があまりに面白かったので、そちらにもすごく興味があります。
自己中心的でわがままなフィリップ・プティ氏ではありますが、だからこそこんなにピュアに夢を追いかけれたのかなーと思ったりしました。
私もエッヂの上を歩けるように頑張りたいな。

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