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布教と信仰、試練の先に幸せはあるのか?映画「沈黙ーサイレンスー」

By ono   2017年1月29日


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沈黙ーサイレンスー
 というわけで、先日観てきました「沈黙」。1966年に発表された遠藤周作の歴史小説を映画化したもので、17世紀にキリシタン弾圧が行われていた日本で、棄教(ききょう、信仰を捨て去ること)を余儀なくされた司祭を描いた作品です。何だかねえ、すごく重い映画でした。最初から最後までつらいことばかりで、色々と涙が止まらないです・・・
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■あらすじ
 17世紀、江戸初期。幕府による激しいキリシタン弾圧下の長崎。日本で捕えられ棄教 (信仰を捨てる事)したとされる高名な宣教師フェレイラを追い、弟子のロドリゴとガルペは 日本人キチジローの手引きでマカオから長崎へと潜入する。
 日本にたどりついた彼らは想像を絶する光景に驚愕しつつも、その中で弾圧を逃れた“隠れキリシタン”と呼ばれる日本人らと出会う。それも束の間、幕府の取締りは厳しさを増し、キチジローの裏切りにより遂にロドリゴらも囚われの身に。頑ななロドリゴに対し、長崎奉行の 井上筑後守は「お前のせいでキリシタンどもが苦しむのだ」と棄教を迫る・・・(公式HPより

 というわけで、棄教をしたという噂のフェレイラ司祭を捜して宣教師のロドリゴ達がやってくるのですが、日本はまさにキリスト教弾圧の真っ最中。仕方なく他のものに見つからないようひっそりと村での活動を始めるのですが、すぐに幕府の手のものがやって来て、匿っている宣教師を出さないと長老を引っ立てるぞ、と脅す訳ですね。そうやって様々な日本人の隠れキリシタンが引っ立てられてはロドリゴの目の前で拷問され、殺害されていくのです。
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 イッセー尾形様さすがの演技。ひょうひょうとした語り口で静かなすごみを出す空気感がすごいです。幕府の大目付・宗門改(しゅうもんあらため)役。劇中では語られてはいなかったと思いますが、原作では自身ももとは熱心なキリスト教徒だったと言います。日本にキリスト教は根付かないのだ、とロドリゴを説得します。
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 窪塚さん演じる「キチジロー」は主役の次くらいにインパクトのある役所でした。裏切っては詫び、また裏切っては詫び、ひたすらロドリゴを慕い続ける。人間の弱さや滑稽さ、必死さ、素直さなど色々なものを感じさせます。

 人の信仰や生き方、幸せのあり方について、もやもやと様々に考えさせられる作品。「タクシー・ドライバー」や「グッドフェローズ」、「アビエイター」、「ディパーテッド」など、数々の名作を生み出したマーティン・スコセッシ監督が28年の構想で実現したという本作。「アメイジングスパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、浅野忠信など豪華キャストの演技も本当に素晴らしい。非常に重い映画ではありますが、敢えて観る価値は十分にあるなー、と。オススメです。
 最後に、監督が1月16日の来日記者会見で発したコメントを紹介します。

弱き者は強くなれるかもしれないし、なれないかもしれない。でも、人が人として生きることの真価を問いているんです。
全ての人間が強くなければならない、なんてことは無いと思います。
弾き出された者、除け者にされた者の存在を、ひとりの人間として知ろうとする。それは、個人レベルで始まることです。

『沈黙‐サイレンス‐』スコセッシ監督来日レポ:ORIVERcinema

  


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