Archive for 6月, 2017

6月

17

地球外生命体への探求は、結局心の探求だったのかも。映画「メッセージ」

By ono



メッセージ
5月19日に日本で封切りされてから一か月程。気になる方はもう観に行かれたでしょうか、「メッセージ」。先週やっと時間ができたので行ってきました。とにかく映像が美しいのが素晴らしかった。超巨大な物体(宇宙船)は予想以上にお菓子のばかうけそっくりでしたけど。
 ところで、この映画はSFの中でも「ファーストコンタクト」がテーマになっています。人類が体験する異星人や異種族との最初の接触のことを言うのですね。「ID4」や「宇宙戦争」なんかは接触も何もいきなり襲われて殺し殺されなアクション映画となってしまう訳ですが、最初の接触を丁寧に描いているのがファーストコンタクトもの映画。古くは「未知との遭遇」がそうでしたし、1997年の映画「コンタクト」なんかは今回の映画と非常に似たコンセプトではないでしょうか。

 ↑映画「コンタクト」から。アレシボ天文台で研究をしていたエリー(ジョディ・フォスター)はスポンサーの協力を得て超大型望遠鏡による新たな調査を行ったところ、こと座のベガから意味のある信号をキャッチ。メッセージを解読することで得た設計図に記されているのは人類をベガへと運ぶことのできる巨大な機械だというのですが・・・という話。あ、ここからコンタクトの方のネタバレをしますよ。
 最終的には、エリーが機械の2号機を使って挑戦したところ、ワームホールのようなものを経由して知的生命体との接触に成功した・・・ように思えたのですが、帰還してみると経過した時間はほぼ0秒、しかも録画していたはずのカメラには何も記録されておらず、エリーの証言は妄想だったと片付けられてしまうのでした。しかし、確かに録画はノイズしか残っていませんでしたが、カメラ自体は18時間回っていたことが判明。そしてその事実は封印されてしまうのでした。というラスト。

「メッセージ」のあらすじ(ネタバレ無し)
 さて、本題の「メッセージ」。ある日、世界各地に突如謎の巨大宇宙船が出現し、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)、数学者のイアン(ジェレミー・レナー)、アメリカ軍大佐のウェバー(フォレスト・ウィテカー)たちが調査を始めます。宇宙船には地上付近に定期的に開く入り口があり、中には地球外生命体がいて、ルイーズとイアンは様々な手段を用いながら少しずつ生命体とコミュニケーションを重ねていくのでした。事態の進展が遅いとやきもきするウェバーは2人に「彼らの目的を聞け」と指示します。しかしそこで示された回答の意味を巡り、世界は混乱に陥る・・・という話。

メッセージが人類へ伝えるものとは・・・?
 地球外生命体こと謎の宇宙人がいったいどこからやってきたのか、そしてその目的は何なのか、というのが徐々に、少しずつ明らかになっていく過程がストーリーの主な部分。しかし、映画の中ではそうした疑問の全てが解決する訳ではありません。また、ルイーズが生命体の言語について徐々に詳しくなっていくうちに、いつしか自分の考え方もその言語に影響を受けるようになります。その上で、最後に自分はどう生きるべきなのか?みたいな話が出てくるのです。つまりは、映画の原作小説のタイトル通り、テーマは「あなたの人生の物語」なのです。そういう意味では疑問点が100%解決されない展開にモヤモヤするのも確かですけれど、SFというジャンルにとどまらない、深い問いかけのようなものがあって、不思議な心地よさのある映画でした。個人的な感想ですけど。

真摯で、真面目で、そして美しい
 主演のエリーことエイミー・アダムス。よく見かけるお顔だなーと思っていたら、最近だと「アメリカン・ハッスル」、「her/世界でひとつの彼女」、「ビッグ・アイズ」などの他、「マン・オブ・スティール」のDCコミックシリーズではクラーク・ケントの恋人役等、今非常に旬な方ですね。一方の数学者イアン役のジェレミー・レナーはアベンジャーズ系列でホーク・アイをされていますね。あとは「アメリカン・ハッスル」でのアンジェロ市長、「ハート・ロッカー」では主役として命知らずの爆弾処理班班長を演じています。
 境遇やキャラクター等、エイミー・アダムスは「コンタクト」のジョディ・フォスターとイメージがかぶるような気がしました。良くも悪くも。
 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」的な痛快SFも良いけれど、こんな風に地球外生命体と自分たちのことを真剣に考える、ある意味とても地味でリアルな映画を大事にしたいですね。アメリカでシリアスなSF映画っていうとさ、だいたい宇宙とか火星とかに誰かが取り残されて、その人の帰還を世界中が待っているぜみたいな話ばっかな気がするんですけど、そのノリは個人的にはもういいかなーって。いや「オデッセイ」はとっても良い映画でしたけど。みなさんはいかがかしら。

  

6月

10

息が止まる程の緊張感!最高のエンタメ映画「イングロリアス・バスターズ」

By ono



イングロリアス・バスターズ
 週一くらいで色々と映画を観ている訳ですが、前回紹介した「アノマリサ」だとか、「さざなみ(今度紹介したい)」など、良い映画なんだけど観ていてちょっとモヤモヤするのが多かったのです。天気もスカッとしませんし。そんな中、緊張感からの爆発、久しぶりに心の底から楽しめた映画だったのでオススメ。例によってタランティーノ節全開の素敵映画、「イングロリアス・バスターズ」です。本当に気持ちの良い映画!

 ↑もうね、一番最初の尋問シーンから緊張感がハンパ無いのです。時代は第二次世界大戦末期。ナチス・ドイツの占領下にあるフランスへ、「ユダヤ人ハンター」で有名なランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ:写真右)が身を隠していると思われるユダヤ人一家を捜しにとある農場へとやってくるのですね。で、非常に上品で優雅な笑顔と物言い、これがまた緊張感を加速させるのです。動揺を気取られないようにしながらもなす術のない農家の主人ラパディット(写真左)とランダ大佐の図が↑なのです。冒頭から息が止まるかと思いましたよ。
 そうそう、あらすじです。

あらすじ
 1944年春、レイン米陸軍中尉はユダヤ系アメリカ人8名からなる秘密特殊部隊を組織していた。レインが部下に説明する任務とは、市民にまぎれて敵地奥深くに潜入し、ナチスを血祭りにあげること。そんな中、パリの映画館でプロパガンダ映画『国家の誇り』のプレミア上映会が開催されることに。ナチの高官が一堂に会するというこのイベントにかのヒトラー総統も出席するという情報が入り、にわかに水面下でとある作戦が発動する・・・

 で、ナチスを血祭りに上げる特殊部隊のリーダー、レイン中尉がブラッド・ピットなの。「ナチスの奴らの頭の皮を剥いでこい!」と檄を飛ばすレイン中尉の部隊はなんかろくでもないヤツばっかりで大丈夫かなって感じなんですけど、この頼りない感じがまた良い。レイン中尉のやり方がクズ過ぎるもんだから、ちょっぴりナチスの連中に同情しそうになったりね。ブラッド・ピットがやたら生き生きしてるのも良い。この人、「バーンアフターリーディング」とかでもそうだけど、2枚目主人公よりこういう役の方がはまるよね。「スナッチ」とかもそう。

 冒頭のシーンもそうなんですけど、バレるの?バレないの?それともすでにバレてるの?っていうサスペンスがあまりの緊張で観ている方もこわばってしまう、そんなシーンがとっても多い訳。例えばレイン中尉の特殊部隊がフランス内の酒場で内通者と落ち合おうとする場面があるんですけど、運悪くバーにはその日に限って子供が生まれたドイツ兵とそれ祝う仲間が集っているのです。ドイツ人将校のふりをしているレイン中尉の仲間は自分たちがアメリカ人だとバレないように必死に笑顔で応じるんですけど・・・ああハラハラするー!!
 ネタバレはしませんので、興味のある人は是非観てみてほしいなと思います。ちょっとエグい暴力的描写がありますが、基本的にはエンターテイメントに徹した作品なので、楽しんで観るのが吉です。8年も前の映画ですけど、公開当時観とくんだったな、と後悔しております。ほんとオススメ。そうそう、ショシャナ役のメラニー・ロラン様がとっても綺麗で素敵。映画館の女支配人エマニュエルという役所なんですが、ひょんなことから「プレミア上映会」にも関わっていくことになるのでした。なんだか観たことある顔だなーと思ったら、この映画の後に「複製された男(2013年)」に出演されてましたね。全くオススメできない映画ですけどね・・・

 


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