Archive for 1月, 2018

1月

14

これも一つの解釈なのかな・・・「ゴースト・イン・ザ・シェル」

By ono



ハリウッドが日本のアニメを実写化した「ゴースト・イン・ザ・シェル」
 「攻殻機動隊」というと非常にファンの多い漫画・アニメ作品ですね。人間が直接「電脳」と呼ばれるネットワークに接続できる近未来の世界を舞台に、内務省直属の攻性公安警察組織「公安9課」(通称「攻殻機動隊」)の活躍を描いた作品群で、本作はハリウッドによる初の実写化という触れ込みで非常に話題になりました。脳以外身体の全てを義体化した”少佐”こと草薙素子をスカーレット・ヨハンソンが演じています。

■あらすじ
 ネットに直接アクセスする電脳技術が発達し、人々が自らの身体を義体化(=サイボーグ化)することを選ぶようになった近未来。脳以外は全て義体化されたエリート捜査組織「公安9課」は、サイバー犯罪やテロ行為を取り締まるべく、日夜任務を遂行していた。
 そんな中、ハンカ・ロボティックス社の推し進めるサイバー技術の破壊をもくろんだテロ組織による事件を解決すべく、少佐は同僚のバトーらと共に捜査にあたるが、事件を調べていくにつれ、自分の記憶が何者かによって操作されていたことに気付く。
 やがて、真の自分の記憶を取り戻していく少佐は、驚くべき過去と向き合うことになる・・・(wikipediaより

■様々に展開する攻殻機動隊ワールド
 映画の話をする前に、元になっている作品を一応確認。原作となっているのは士郎正宗による1991年発行の漫画です。その後、1995年に押井守監督による劇場版アニメが公開され、2002年にはTVアニメ版が公開されました。
 今回の実写版は劇場版アニメを色濃くトレースしており、本編と全く同じカット割りのシーンなども多く登場します。シリアスで笑わない素子も劇場版のキャラクターを参考にしていると言っていいのではないでしょうか。これは劇場版アニメがアメリカで大ヒットしており、当時ビデオがビルボードチャートで1位を取ったこと等も大きな要因なのだと思います。

 劇場版アニメでは人間が電脳化されてネットワークに直結し、脳の情報すらも書き換えられるようになった時代、本当の自分とは何か、人間の魂(作品中では「ゴースト」とも呼ばれる)とは何か、といった存在の有様が一つのテーマとなっていたように思います。漫画版及び劇場版では素子は自称「情報の海の中で誕生した生命体」であるハッカー「人形使い」に共鳴し、その生命体と融合を図ろうとするのです。
 劇中、素子はこんなことを呟いています。

人間が人間であるための部品が決して少なくないように、自分が自分であるためには、驚くほど多くのものが必要なの。
他人を隔てるための顔、それと意識しない声、目覚めの時に見つめる手、幼かった頃の記憶、未来の予感、それだけじゃないわ。
私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり、それら全ては私の一部であり、私と言う意識そのものを生み出し、そして同時に、あたしをある限界に制約し続ける・・・


■で、今回のハリウッド実写版は
 先ほども書きましたが、劇場版アニメを下敷きにしている本作は、原作を観ていると思わずニヤリとしてしまうような場面やオマージュが多く、スカーレット・ヨハンソンのビジュアルもとても素敵で、一般的に楽しめる作品になっていると思います。映像的にもレベルは非常に高いです。さすがハリウッド。お金をかけた映画はちゃんと外さないように仕上げてあります。でもね・・・

 この映画、元々の劇場版アニメが主題にしていたであろう、「電脳化された時代、人が人であるとはどういうことなのか」っていうテーマを、丸ごとアレンジしちゃってるのよね。あらすじにも書いてあるけど、素子が本来の自分の記憶を探して自分の過去と向き合う、いわば「自分探し」が目的になっているんです。いつの時代も自分探しは人気あるテーマだしね。これによって、話はすごくわかりやすいストーリーになったんだけど、本来の作品が醸していたサイバーパンクさが微塵も無くなってしまった。とんがった部分が削られたことで、これといった強烈な特徴がない映画になってしまった、とも言えるんじゃないかなあ。だから原作に思い入れのある方には物足りないです。逆に普通のSF映画として楽しむぶんには文句なし。

 個人的には冒頭で出てくる芸者ロボ↑が好き。こういう独特の味をもっと出してくれたらよかったのになあ、と思いました。あまり攻殻機動隊に思い入れのない人が観た方が楽しめるのかな。また、この作品を機会に原作アニメを観てみるというのも面白いと思います。今観ても十分楽しめるクオリティだと思いますよ。

  

1月

4

2017に観た映画から、面白かったものベスト5をご紹介しますよ。

By ono



■新作ではありませんけれども
 ここ何年か、年間55本くらいの映画を観ております。映画好きな人はもっとたくさん観ていらっしゃるんでしょうけど、私はなかなか時間が取れず、この辺が限界です。さて、今回は昨年観た作品で個人的に面白かったものをいくつかご紹介したいと思います。何か面白い映画ないかなーという方の参考になればいいな、と。ちなみに昨年ブログで紹介した映画は含みません。あと、基本的に新作ではないです。


1)ダラス・バイヤーズクラブ(2013年・アメリカ)
 本当に素敵な映画です。エイズで余命を宣告されたロンが自ら本当に必要な薬を探し出し、遂にはそれを同様に苦しむ人たちへ配ることを考え始める。ガリッガリに痩せたロン役のマシュー・マコノヒーのらんらんとした目つきは凄みを感じさせ、アカデミー賞の主演男優賞を受賞したのも頷けます。
 自堕落で破天荒だったロンが病気について勉強を重ね、医療業界の矛盾に気づき、それにたてつこうとする。気付かないうちに彼が様々な人に慕われていく様は、観ていて本当に笑顔になります。
 幸せになれる映画。実話です。

■あらすじ
 1985年ダラス、電気技師でロデオ・カウボーイのロン・ウッドルーフは「エイズで余命30日」と宣告される。当時まだエイズは「ゲイ特有の病気」だと一般的には思い込まれており、女好きであるロンは診断結果を信じない。しかし、詳しく調べるうち、異性との性交渉でも感染することを知る。友人や同僚たちに疎んじられ、ロンは居場所を失ってゆく。
 当時臨床試験が開始されたばかりだった新薬、AZTの存在を知ったロンは主治医に処方してくれと迫るが、「安全性が確認されていない薬を処方することはできない」と突っぱねる。AZTを手に入れるべく、教えられた医師をロンが尋ねたところ、彼はそこで驚くべき事実を耳にするのだった・・・

 続きは下からどうぞ。
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