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50年前、木箱に入り自分自身を飛行機で送り届けてもらった男性がいた。

By ono   2015年3月8日


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■娘の元へ帰らなければ
 貨物として送ってもらえば、普通に乗るより格段に安く移動できちゃう、という話なのかしら?50年程前にこれを本当に成功させた男性がいたそうです。このほど彼についての本が出版されることになり、話題になっています。
 このお話の主人公はレジ・スピアーズさん。オーストラリア人です。彼は1960年代、槍投げ選手として将来を有望視されていたのですが、怪我をしてしまいました。どういう経緯かわかりませんが、トレーニングからの休息と怪我の回復のため、レジさんはイギリスへとやってきたそうです。本当は1964年の東京オリンピックにも出場するつもりでいたのですが、それが叶わないと連絡を受けた彼は、仕方なくオーストラリアへ帰ることにしました。ただし、彼はあまりお金がなかったので空港で仕事を見つけ、少し稼いでから帰ることにしたのです。
 ところが、レジさんは空港で財布を盗まれ、全財産を失ってしまいました。これでは、彼の愛する娘の誕生日までに帰ることができません。そこで彼は自分自身を木箱で送り届けるという奇策に打って出ることにしたのです。友人に自分が座って入れるくらいの大きさの木箱(写真↑)を作り、オーストラリア行きの貨物として空港へ運んでもらいました。レジさんはこうコメントしています。
「これに乗って運んでもらったんだ。何も怖くなかったよ。私は暗闇が苦手じゃなかったからね。ただそこに座っているだけで良かったんだ。」
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 当時のレジ・スピアーズさん(中央)

■3日間のトラベル
 ちなみに彼の入って行った木箱は、縦90センチ横76センチで、奥行きが152センチ。体を延ばすことはできないでしょうけど、大人が1人座って入るにはちょうど良い感じだったようです。中には缶詰、トーチ、毛布、枕、プラスチックのビンを一緒に詰め込みました。ビンはおしっこを入れるためですね。ただし、全てが順調に行った訳ではありませんでした。
 レジさんはエア・インディア航空の飛行機に乗ったのですが、出発から既に遅れが生じ、なんと空港で24時間も足止めを食らったそうです。また、途中で立ち寄ったインドでは箱が逆さまになった状態のまま、炎天下の外に4時間も放っておかれ、熱さで死ぬ思いをしたのでした。結局、彼がオーストラリアにたどり着くまで丸3日かかってしまったのです。
 無事空港に到着すると、彼の乗った木箱は税関の輸入貨物を一時的に保管する倉庫へと運ばれます。ここで箱から出て来た彼は、ようやく自由を満喫。なんとか倉庫を見つからないように脱出すると、タクシーを捕まえて自宅へと帰って行ったのでした。

■実は安くなかった?
 ちなみに元記事によれば、これぐらいのサイズの木箱を送ったとすれば、当時であっても普通の旅客運賃よりは安くならないという話もあり、実はこの荷物、現地着払いで発送されており、自分が箱から逃げ出した後はうまいことごまかして受け取らないみたいなことだったようです。悪い人ですねまったく。全財産を失ってしまい、他に方法が無かったという事情もあるんでしょうけど、現代の旅客機はちゃんと貨物の中身もスクリーニングしているので、人間なんかが隠れていたらすぐに見つかってしまうそうです。こんな破天荒な旅は今は無理なのですね。

 ところでレジ・スピアーズさんのこのお話は「Out of the box」という本になっているのですが、彼のお話にはまだまだ続きがあるのです。コカイン輸入の嫌疑を受けたり、スリランカで死刑を宣告されたり、オーストラリアに戻って来て5年間の懲役に服したりと、まあハチャメチャです。良いか悪いかはさておき、度胸と行動力はある方だったんですね、きっと。

<ネタ元:Man posts himself naked in box from UK to Australia


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