2月

8

ヒロインが力強いのはお家芸?映画「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」

By ono


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ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
 今さらではありますけど、あまりにもファンが多い映画ってコメントしづらくないですか。このブログは観てる人がいないので大丈夫だと思いますけど。スターウォーズの話をしようとするともうみんな好き過ぎて話が噛み合ないのよね。新三部作は認めない派の人やら、もう完全にフォース狂の人やら、アンチのくせにやたら詳しい結局観てるんじゃねーか野郎などなど・・・面倒くさい・・・こんなに好きなのに・・・いや、好きだからこそ面倒くさいのか・・・
 そういえば、漫画「木根さんの一人でキネマ」でも良い年をしたおじさん達が「初めての人はスターウォーズをどの順番で観るべきか」で大論争。
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 ↑第1巻「4本目・スターウォーズ」から

 だいたいこの漫画の時点でさえ7作目の「フォースの覚醒」も「ローグ・ワン」も公開されていない訳ですから、今そんな話をし出したらひどいことになるのは自明の理。ちなみに「ローグ・ワン」はエピソード4でレイア姫がR2−D2に託したデススターの設計図がどうやって反乱軍の手に渡ったのか、を描く作品。つまりエピソード4の直前までのストーリーなのです。どの順番で観るべきか問題ががぜんややこしくなってきそうですねははは。
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 ↑チアルート・イムウェ。ジェダイなき時代、ひたすらにフォースを信じて戦う盲目の戦士。ローグワンの中でも一番好きなキャラクターです。ローグ・ワンは脇役の個性が強くて愛せるキャラが多い!

■アクティブでガッツのあるヒロイン
 ローグ・ワンはジン・アーソというヒロインが主人公。エピソード7に続いて女性が主役です。とにかく前向きでやんちゃだけど芯のある女性でした。お亡くなりになったキャリー・フィッシャーのレイア姫とはちょっとキャラが違いますけど、女性が強いのがスターウォーズの特徴なんでしょうか。ちなみに本作ではほんのちょっとだけレイア姫が登場します。逆にジン・アーソを助けるナイト的なキャラは「冷静沈着かつ厳格、規則を守ることに重きを置くタイプ」のキャシアン・アンドー。サポート役としてはピカイチだね!サポート役としては!
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■まだ間に合う、是非映画館でご覧に
 まだ大きな映画館では上映してますが、そろそろ終わっちゃうかな?でもスターウォーズは是非劇場で見たい作品です。特に後半、反乱軍が一斉に惑星スカリフへ駆けつける辺りからはド派手でスケールの大きい場面が目白押し。Xーウイングがガンガンドッグファイトを繰り広げる横で、トリッキーかつ壮絶な艦隊戦も行われて目が離せません。ここは是非4Dでアトラクション感を楽しみたいところです。ここを観るためだけに出かけていっても損は無い。たぶん。

■回を追うごとに薄れるハチャメチャ感
 昨年、映画公開に合わせて旧作がテレビ上映されましたよね。それで久しぶりにエピソード4を観ていて思ったんです。「ああ、スターウォーズってほんとにスペースオペラなんだな」と。かっこいい宇宙船がビュンビュン飛び周り、ヘンテコな宇宙人がワラワラ出てきて、少年が成長してお姫様を助けてサクッと終わる。そういうベッタベタなファンタジーを最高にクールな映像で見せる、そういう映画だったね。
 だけど、回を重ねて世界感が広がり、重みを増し、CGがどんどんクオリティを上げていった結果、僕らが昔観ていた、あのハチャメチャでちょっぴり滑稽だけどどこを切り取ってもかっこいい、そういう荒唐無稽さが薄れてしまったように思うんです。ローグ・ワンも最後は素晴らしい映像で盛り上がりますけど、前半はとにかく重いんです。ストーリーも展開も。そこが何だか寂しい感じがしました。子どもの頃観ていたあのワクワク感はもう味わえないのでしょうか。やだな、年を取るって。

 スターウォーズシリーズを観たことが無いという人も、本作からでも楽しめますので是非お試しを。面白かったら続きでエピソード4をどうぞ。エピソード4の軽さとテンションの高さを味わってみるのもオススメですよ。

  

2月

2

終わりの見えない大人の喧嘩、ほんと夫婦って面倒くさいね!映画「おとなのけんか」

By ono


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 図書館に行くと、季節的にいろんなコーナーを企画してくれているのね。芥川賞特集だとか、映画の原作特集だとか、渡辺淳一的な作品集(奥様層にはこの手の話が鉄板なのよ、と司書のお姉さんが笑顔で教えてくれました)だとか。個人的には「薄くてすぐに読み終えられるけどとっても面白い小説」を特集してほしいといつも思います。「何か面白い本が読みたい」ときってだいたいその手の作品を求めるもんじゃない?
 映画も似たような傾向ってあるかなと思うんですよ。特に何が観たいって訳じゃないけど、さくっと観れてそれなりに楽しめるやつはないかなー、なんてね。
 で、そんな時にオススメなのがこの作品。

おとなのけんか
 上映時間80分!オープニングとエンディングをのぞくとほとんど1時間ちょっと、でもお話の面白さはお墨付きです。何せ役者が良い。常識人で良き妻であろうとする奥様役をジョディ・フォスター、寛大で太っ腹ののんきな夫役をジョン・C・ライリー、弁護士の夫を持つハイクラスで金持ち喧嘩せずな妻をケイト・ウィンスレット、その弁護士の夫をクリストフ・ヴァルツ。劇中にはこの4人しか出てきません。延々と実りの無い会話をエスカレートさせていきます。ちなみにこの作品は2011年のフランス・ドイツ・ポーランド・スペイン合作によるコメディ映画。戯曲『大人は、かく戦えり』をもとに制作されています。映画の原題は「Carnage」、修羅場や殺戮といった意味合いです。派手な喧嘩ってことですね。
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 ↑ロングストリート夫妻、夫のマイケルと妻のペネロピ。
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 ↑カウアン夫妻、夫のアランと妻のナンシー。

■子どもの喧嘩が火種のもとに
 きっかけは、ロングストリート夫妻の子ども、イーサンがカウアン夫妻の息子ザッカリーに棒切れで殴られ、前歯をへし折られてしまうという事件でした。
 イーサンのお母さん、ペネロピはカウワン夫妻を自宅に呼ぶと、事情を説明して子どもの喧嘩を親同士で上手に解決しようとするのです。

「来てくれてありがとう。親同士がいがみ合う事態を避けられたわ」
「こちらこそ」
「お礼を言い合うのも変だけど、地域の結びつきって大切よね」
「子どもにも教えないと・・・うちの子に」
「そう、うちの子よ」

■話はそう簡単には終わらない
 そうなのです。きっかけはカウアンの夫アランがひっきりなしに電話で仕事の話をしていることでした。はやいとここの場を片付けたいアランは周りの空気など意に介さず言いたい放題。イラットしたペネロピがキレそうになるとナンシーが言い返し・・・と最初の穏やかだった空気はどこへやら、どんどん空気が険悪になり、会話がエスカレートしていくのです。さてこの4人、一体どうなってしまうのか?というお話。とにかく話の終着点は見えないし、予想外のことが次々に起きて、ちょっとお酒が入った辺りからはもうはちゃめちゃ・・・

「何なの?最低の夫」
「言葉に気をつけろ、俺にも我慢の限界がある!」
「うちの息子にだけ反省しろと?」
「”穏やかな話し合い”なぞもうまっぴらだ。こっちは花まで買った!
 リベラルな親を演じたが、こんな茶番やってられるか!俺は短気な野蛮人なんだ!」
「皆そうさ」

・・・”地域の結びつき”とやらはどこへ行ったんだろうね!

■夫婦には建前がありますもんね
 以前紹介した「フレンチアルプスで起きたこと」もそうですけど、観た後誰かと語りたくなる映画ですねー。いろんな話題が出てきますけど、「奥さんはだいたい世間体を偽ってる」だとか、「夫ってなんで子どもみたいにガジェットに執着するのか」といった論点でだけはそれぞれの夫同士、妻同士が同意してつるんでみたり、とかね。
 やっぱり夫婦ってどうしても世間を前にして「良き夫婦」でありたいと思うからさ、お互いに対して納得がいかないところがあっても、あえて寛容ある理解者みたいなスタンスをとっちゃったりするじゃない?そんな様子をかいま見ながら、「そのセリフ、わかるわー」みたいにゆるく感情移入しながら観るのも楽しいです。
 夫婦4人のマウンティング合戦、いったいどんな結末になるのか、気になる方は是非ご覧下さい。

 

1月

29

布教と信仰、試練の先に幸せはあるのか?映画「沈黙ーサイレンスー」

By ono


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沈黙ーサイレンスー
 というわけで、先日観てきました「沈黙」。1966年に発表された遠藤周作の歴史小説を映画化したもので、17世紀にキリシタン弾圧が行われていた日本で、棄教(ききょう、信仰を捨て去ること)を余儀なくされた司祭を描いた作品です。何だかねえ、すごく重い映画でした。最初から最後までつらいことばかりで、色々と涙が止まらないです・・・
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■あらすじ
 17世紀、江戸初期。幕府による激しいキリシタン弾圧下の長崎。日本で捕えられ棄教 (信仰を捨てる事)したとされる高名な宣教師フェレイラを追い、弟子のロドリゴとガルペは 日本人キチジローの手引きでマカオから長崎へと潜入する。
 日本にたどりついた彼らは想像を絶する光景に驚愕しつつも、その中で弾圧を逃れた“隠れキリシタン”と呼ばれる日本人らと出会う。それも束の間、幕府の取締りは厳しさを増し、キチジローの裏切りにより遂にロドリゴらも囚われの身に。頑ななロドリゴに対し、長崎奉行の 井上筑後守は「お前のせいでキリシタンどもが苦しむのだ」と棄教を迫る・・・(公式HPより

 というわけで、棄教をしたという噂のフェレイラ司祭を捜して宣教師のロドリゴ達がやってくるのですが、日本はまさにキリスト教弾圧の真っ最中。仕方なく他のものに見つからないようひっそりと村での活動を始めるのですが、すぐに幕府の手のものがやって来て、匿っている宣教師を出さないと長老を引っ立てるぞ、と脅す訳ですね。そうやって様々な日本人の隠れキリシタンが引っ立てられてはロドリゴの目の前で拷問され、殺害されていくのです。
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 イッセー尾形様さすがの演技。ひょうひょうとした語り口で静かなすごみを出す空気感がすごいです。幕府の大目付・宗門改(しゅうもんあらため)役。劇中では語られてはいなかったと思いますが、原作では自身ももとは熱心なキリスト教徒だったと言います。日本にキリスト教は根付かないのだ、とロドリゴを説得します。
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 窪塚さん演じる「キチジロー」は主役の次くらいにインパクトのある役所でした。裏切っては詫び、また裏切っては詫び、ひたすらロドリゴを慕い続ける。人間の弱さや滑稽さ、必死さ、素直さなど色々なものを感じさせます。

 人の信仰や生き方、幸せのあり方について、もやもやと様々に考えさせられる作品。「タクシー・ドライバー」や「グッドフェローズ」、「アビエイター」、「ディパーテッド」など、数々の名作を生み出したマーティン・スコセッシ監督が28年の構想で実現したという本作。「アメイジングスパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、浅野忠信など豪華キャストの演技も本当に素晴らしい。非常に重い映画ではありますが、敢えて観る価値は十分にあるなー、と。オススメです。
 最後に、監督が1月16日の来日記者会見で発したコメントを紹介します。

弱き者は強くなれるかもしれないし、なれないかもしれない。でも、人が人として生きることの真価を問いているんです。
全ての人間が強くなければならない、なんてことは無いと思います。
弾き出された者、除け者にされた者の存在を、ひとりの人間として知ろうとする。それは、個人レベルで始まることです。

『沈黙‐サイレンス‐』スコセッシ監督来日レポ:ORIVERcinema

  

1月

22

ただ、ただ衝撃的な作品。声の無い映画「ザ・トライブ」

By ono


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ザ・トライブ
 2014年、ウクライナの映画です。タイトルにも書きましたが、いろんな意味で「衝撃的な映画」です。いろんな意味で、というのはですね、
・良い意味で衝撃的・・・きっと誰も観たことの無い映像体験
・悪い意味で衝撃的・・・観ていて一つも幸せになれない

 という感じです。

 舞台がろうあ者の若者が住む寄宿舎という設定で、全ての会話が手話のみで行われます。はじめはどんなやりとりをしているのか全く検討もつきませんが、見ているうちに気にならなくなるくらい会話が伝わってくるから不思議です。
 個人的には事前情報を全く入れないで鑑賞したのが良かったな、と思いました。主人公のセルゲイが寄宿舎に転校してくるところから話が始まるのですが、全てのシーンが長回しでのんびりと話が進んで行きます。「ああ、何だかアート系の淡々と進んで行く、正直つまんない映画なんだろうな。」実際、開始10分くらいで一度寝落ちし、座っていた椅子から転げ落ちました。
 ところが、セルゲイが寄宿舎内でカツアゲされたり、2人の少女が夜な夜なトラックの運転手を相手に売春しているというシーンの辺りから、どんどん雲行きが怪しくなって行きます。どうやらこの宿舎に住んでいる若者は不良も不良、犯罪や暴力・売春などを繰り返す悪党グループだったのです。いつの間にかグループに組み込まれ、少しずつなじんで行くセルゲイ。しかし、トライブ(グループ)のリーダーの愛人アナに恋をしてしまったセルゲイは徐々に暴走するようになって行くのでした。

 とにかく、きれいな映像などまるで無い、ひたすら犯罪と暴力とセックスが繰り返されるこの映画。一つもハッピーな気分にはなれませんが、有り体の映画に飽き飽きしている人は是非オススメです!
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■あらすじ
ろう学校に入学したセルゲイ。彼が住むことになった学校の寄宿舎は、暴力や売春を生業にする組織=族(トライブ)が幅を利かせる場所だった。セルゲイも次第に組織の中で頭角を現していくが、リーダーの愛人アナに恋をしてしまう・・・
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■サイレントへのオマージュ
 公式サイトで「サイレント映画へのオマージュを表現することは昔からの夢だった」とミロスラブ・スラボシュピツキー監督(言いづらい名前!)が述べています。確かにそうですけど、こんなに感情的な手話のやり取りも初めて見ました。そういう意味では全然サイレントじゃないですね。
 ちなみに映画の舞台はウクライナの首都キエフ。ウクライナの南部にはクリミア半島がありますが、2014年にロシアがクリミアを自国に編入したのは記憶に新しいですね。いろんな世界を観れるのも映画の醍醐味。

  

1月

17

狂気・恐怖・賞賛…地上411m、ワールドトレードセンターを綱渡りした男の実話、映画「ザ・ウォーク」

By ono


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ザ・ウォーク
 DVDで観たんですけどね。もう最初のメニュー画面から↑こんなんですよ。高所恐怖症の私が観ても大丈夫なんでしょうか。というわけで「ザ・ウォーク」。2015年のアメリカ映画です。1974年にニューヨークのワールドトレードセンターという2本のビルの間を命綱無しでゲリラ的に綱渡りした男、フィリップ・プティの実話を映画化した作品です。
 監督はあのロバート・ゼメキス。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」3部作や「フォレスト・ガンプ」、「キャストアウェイ」などで有名な方ですね。フィリップ・プティを演じるのはジョゼフ・ゴードン=レヴィット、「インセプション」のアーサー役や「ダークナイト・ライジング」のジョン・ブレイク(警官)などを演じています。ちなみにフィリップ・プティはフランス人ですが、演じるジョゼフはアメリカ人。フィリップが話すフランス訛りの英語を取得するのにはかなりの努力が必要だったと言われています。実際に話しているところを観ると、確かに圧巻。この人フランス人だっけと思う程です。
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■あらすじ
 1974年。フランス人の大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、誰も考えついたことのない挑戦をすることに。それはニューヨークのマンハッタンにそびえ立つ2棟構造の高層ビル、ワールド・トレード・センターの屋上と屋上の間にワイヤーロープを張って命綱なしで渡っていくというものだった。そして、ついに決行の日を迎えるフィリップ。地上110階の高さに浮いているワイヤーを、一歩、また一歩と進んでいく彼だったが……。

 もちろん、クライマックスはフィリップ・プティがワールド・トレード・センターでの綱渡りを敢行するところなんですが、こんなのもちろん許可される訳が無いですから、日中に何とか屋上に忍び込み、業者のふりをしてワイヤーなどを運び込み、深夜の間に綱を張り・・・という、その計画のための調査や仲間集め、段取りを進めていく訳です。映画の中ではこんな感じで語られています。

NYへ行ってスパイ開始。
毎日タワーへ通った。しかも毎日違う変装で。
タワーを撮影し、克明にメモをした。
エレベータも乗って調べた。スカイロビーへの高速運転も含め、何百回も。
保安要員、搬入口、トラックもチェック、到着や駐車の時間、交わされる書類。
得意な変装は建築家だ。ネクタイ姿で設計図を持てば、
現場へ自由に出入りできた。

 かなり綿密に調査をしていたことがわかりますね。調査の過程でも現地の協力者を見つけ、段取りを確実にしていきます。そして遂に決行の日が来るんですが、もちろん様々なトラブルが襲いかかる訳です。ネタバレになりますのであまり書きませんが、うまくビルに侵入できても予想外の警備員がいたりとか、綱を張る際に想像もしなかった事故が起きるとか・・・です。それらすべてを乗り越えて、綱渡りの一歩目を踏み出した瞬間、クライマックス。色々ハラハラし過ぎてもうなんか疲れてますけど、この一瞬のためにこれまでのすべてがあったのですねー、と思うと本当に感慨深い。でもね、
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 映像がめちゃめちゃ怖いよ!地上411メートル、110階建てのビル!もうあそこは恐怖でキュッてなるし、映像を見ながら一人で「怖い!怖い!」を連呼。一人で良かった。だいたい恩師の忠告にも関わらず、命綱無しですよ!?もう文字通り命がけなのです。急に突風とか吹いたらどうすんだ。どうかしてます。あと、協力者の一人、フランス語しか話せない高所恐怖症の数学教師、ジェフさんていうのがいるんですけど、この方がすごく良い味出しています。フィリップ・プティが綱渡りを始める直前まで一緒に作業を進めるんですが、綱の上を歩いていくプティを見て、嬉しさのあまり小さくガッツポーツアンド小躍りするんですけど、これがかわいい。いかにも運動のできない人がぎこちなく喜びを表してる感じがツボです。高所恐怖症だって言うのによくこんなクレイジーな挑戦に協力しましたよ。
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■綱渡りが命を吹き込んだ?
 現地でのスタッフを集める過程のやりとりで、こんなセリフがあります。

「なぜあのタワーだ?皆”醜い箱”と言ってる。デカい書類棚みたいだ。」
「言えてる。クライスラー・ビルにしないか?楽しいぜ。」

 格好悪くて、あまり好かれてないビルだったことがわかります。映画情報ニュースサイト「TimeWarp.jp」の記事には本作品の視覚効果スーパーバイザー、ケヴィン・ベイリーのこんなコメントが。

「ニューヨーク中の人たちが、まるでファイリング・キャビネットみたいなビルだ、と思っていたんだ。でもあのワイヤー・ウォークが行われた後は、みんなタワーが大好きになった。タワーに人格が備わったんだ。フィリップ・プティがタワーの間を歩いたことで、タワーが詩的なものになり生まれ変わったのさ」
 (「今はなきWTCに敬意を表したスタッフの熱意!映画『ザ・ウォーク』あのツインタワーが再現されるまで。(2015年12月28日) 」から

 なんだか素敵な話ですね。だからこそ、9.11でこのビルが失われてしまったことが本当に残念に思われます。そんな建築への哀悼も込められた「ザ・ウォーク」。オススメですよ。ちなみに当時の実際の写真はこちらからどうぞ

■作品データ
原題 The Walk
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間 123分

   


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